起業を検討していたり真剣に考え始めたりしている人がよく気にされることは、企業に向けて何らかの勉強をするべきではないかということです。
特に、起業してからしばらくは経理などの雑務のために人を雇う余裕が無いのではないかという不安などから、経理処理の勉強や簿記の資格を取得したほうが良いのではないかというご質問をいただくことがあります。
ケースにもよりますが、簿記などの雑務の勉強に時間を費やすことは賢明ではないこともあるようです。
時間が限られているならば、まずは簿記などよりマーケティングや営業のスキルアップを図ったほうがよいかもしれません。
なぜ簿記よりもマーケティングや営業のスキルのほうが重要だと考えるのでしょうか。
それは第一に起業間もない頃の、起業家の一番の大きな悩みは殆どの場合で「売り上げが上がらない」ということが多いからです。
成功された起業家の体験本などを読むと、起業後すぐに売り上げを安定させ、事業を軌道に乗せる起業家がいるでしょう。
実際に現在成功している企業の中にはそのようなスピード力のある会社があることは間違いありません。
しかし売り上げを多く上げている方はほとんど、「マーケティング・営業のスキルがある方」だと思います。
簿記などが特に重要となってくるのは、ほとんどの場合は収益がそれなりに上がってきてからのタイミングです。
収益があれば作業を外注したり、人を雇ってお願いしたりすることで解決するため、簿記を勉強しなくともなんとかなる場合が多いのです。
売上が上がらないという段階はとても精神的にきつくなります。
これは経理などの問題で苦労するよりもずっと大変なことでしょう。
こんな状態を避けるためにも、独立前・安定収入のある時期に、マーケティングや営業スキルをためておくべきではないかと思います。
もちろん簿記などの知識が無駄だと言っているわけではありません。
簿記などをある程度理解しておくことで、帳簿の見方も分かるようになります。
トラブル防止などの観点で帳簿をチェックするためにも、簿記の知識は無駄ではないことから、時間があれば多少勉強しておくのもよいかもしれません。