資本金の定め方について述べてきましたが、資本金は誰が出すのでしょうか。まず、株式会社は「役員のものではない」というのが前提です。社長を含む役員を選任しているのは、株主総会であり、会社は株主のものとも言えるでしょう。その中でも出資の多い株主は、それだけ多く議決権を持っていることになり、さらに会社を自由に動かすことができます。もちろん、自分が社長でかつ株主の場合は、全て社長の好きにすることができます。
第三者に出してもらう場合を考えましょう。取締役を選ぶ時、株主総会で過半数の賛成が必要となります。そのため、自分が安心して事業を行うには、半分を超える出資を自ら出す必要があります。でないと自分の会社であるにも関わらず、解任される可能性が出てきます。また、重要事項の決定には3分の2以上の議決権が必要です。67%以上の出資をして初めて、安心できる状況と言えます。
家族に出資してもらうのも一つの方法ですが、これも100%安心できるとは言えません。もちろん人間ですので、いつ関係が変わるとも分かりません。また、家族が亡くなってしまう場合もあります。この時、家族が持っていた株式は相続財産として扱われてしまいます。当然ながら、株価は変動します。もし事業が伸びていて株価も上がっていた場合、相続税の発生も考えられます。家族と言えど、第三者として扱うのが良いでしょう。
色々な可能性を考慮しても、やはり自分で100%出資するのが安心と言えます。とは言えそれだけの金額を集めるのは難しいことです。その時は、家族間であれきちんとした借用書を書いて借入をした方が、無難です。余計なトラブルがないよう、会社を100%動かすという気持ちが大事なのかもしれません。